第8回 演奏曲解説 その6 兎と神話

アクセスいただきありがとうございます。
赤木俊祐サクソフォンリサイタルvol.2 ファーストノート集、8回目です。

今回は、佐藤信人作曲の「兎と神話」について紹介したいと思います。

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前回の、鳥獣人物戯画に引き続き、この兎と神話までは会話形式でお届けします。

赤木「続いて兎と神話についてですが」

佐藤「はい」

赤木「因幡の白兎をテーマに書かれたんですよね?」

佐藤「そうですね。これはもともと、サクソフォン四重奏のために書いて作品で、それをサクソフォン2本とピアノのために書き直しました。カルテット版とデュオ版で曲のエンディングが若干違います。実は。」

赤木「何で変えたんですか?」

佐藤「物足りないかなと思って。笑」

・・・

赤木「曲の構成について伺ってもいいですか?」

佐藤「因幡の白兎のストーリーに沿って、9つの場面からできています。順番に序奏・因幡の国への憧れ・あちらに渡るには?・ワニザメと交渉・数比べ・欺いた罪と意地悪な神々・大国主命との出会いと助言・喜びと予言・終奏、になっています」

赤木「物語を知ったうえで聞いてもらえたら、よりおもしろいですね」

※追記
以下が因幡の白兎のお話です。(ウィキペディアからの転載)

大穴牟遲神(おおなむぢのかみ=大国主神のこと)には兄弟(八十神)がいた。八十神は大穴牟遲神を嫌っていた。八十神は、稲羽の八上比賣(やがみひめ)に求婚したいと思い、稲羽(いなば)に出掛けた時、大穴牟遲神に袋を持たせ、従者のように引き連れた。
「気多(けた)の前」に来たとき、裸の兎(あかはだのうさぎ)が伏せっていた。兎は、八十神に「海塩を浴び、山の頂で、強い風と日光にあたって、横になっていることだ」と教えられた通りに伏せていたが、海塩が乾くにつれ、体中の皮がことごとく裂けてきて、痛みに苦しんで泣いていると、最後に現れた大穴牟遲神が「なぜ泣いているの」と聞いた。
菟は「私は隠岐の島からこの地に渡ろうと思ったが、渡る手段がありませんでした。そこで、ワニザメ(和邇)を欺いて、『私とあなたたち一族とを比べて、どちらが同族が多いか数えよう。できるだけ同族を集めてきて、この島から気多の前まで並んでおくれ。私がその上を踏んで走りながら数えて渡ろう』と誘いました。すると、欺かれてワニザメは列をなし、私はその上を踏んで数えるふりをしながら渡ってきて、今にも地に下りようとしたときに、私は『お前たちは欺されたのさ』と言いました。すると最後のワニザメは、たちまち私を捕えてすっかり毛を剥いでしまいました。それを泣き憂いていたところ、先に行った八十神たちが『海で塩水を浴びて、風に当たって伏していなさい』と教えたので、そうしたところ、この身はたちまち傷ついてしまったのです」といった。そこで、大穴牟遲神が兎に「今すぐ水門へ行き、水で体を洗い、その水門の蒲(がま)の穂をとって敷き散らして、その上を転がって花粉をつければ、膚はもとのように戻り、必ず癒えるだろう」と教えたので、そうすると、その体は回復した。これが、稲羽の素兎(しろうさぎ)である。
その兎は「八十神は八上比賣を絶対に得ることはできません」と大穴牟遲神に言った。そのとおり、八上比賣は八十神に「あなたたちの言うことは聞かない」とはねつけ、大穴牟遲神に「袋を背負われるあなた様が、私を自分のものにしてください」と言ったため、今では兎神とされる。

今回はこのあたりで。また次回をお楽しみに!